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11〜20座目

白山

霊峰白山 御前峰へ!!

2022/10/29〜30

白山登山道から北アルプスを望む

 11座目は白山 登山に行ってきました。白山は北陸地方の石川県白山市、福井県勝山市、岐阜県大野郡白川村にまたがる標高2702mの山。御前峰 2702m、大汝峰 2684m、剣ヶ峰 2677mの主峰を中心に別山などを含む山々の集合体の総称。白山を遠望する事で南北に連なる山岳地帯を含めた白山連峰を形成する。また、白山を中心とする自然一帯は「白山国立公園」に指定されています。

火口湖 翠ヶ池

 現在、白山は活火山に分類される。最後に噴火が上がったのが1659年。(※過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山を活火山と呼ぶ)山頂近くには爆裂火口が7箇所あり、一部は火口湖となっている為、透き通るブルーの湖を眺めながら周遊することができます。登山の歴史は長く、白山信仰の広がりや江戸時代に人気のあった三山巡り(富士山・立山・白山)を通して、日本三名山、日本三霊山に数えられるようになりました。

雪の白山

 白山はその名の通り、1年の大半にわたって雪により白い山体を表しています。世界的にも有数の豪雪地帯である日本では、冬になるとシベリアから吹く季節風が日本海側から湿気を含んだ重い風となり、白山という障壁にぶつかる事で、山頂付近では何メートルも雪が積もります。ちなみに白山という名の山は世界に存在し、「モンブラン」や「ダウラギリ」(※いずれも「白い山」という意味。)がそれにあたり、日本を代表する白い山こそ、白山である。また、多雪である為、山頂付近の高山帯には高山植物が雪解けとともに咲き誇り、夏には大勢の登山者で賑わいます。登山道の特徴としては、よく整備された「別当出会登山口」からの防砂新道、岐阜県側「平瀬道登山口」からアプローチする平瀬道ルート、古くから開かれた長距離の禅定道や、隣接する別山を含む縦走ルートなどバリエーションも豊富。

 ※白山室堂ビジターセンター(冬季避難小屋)

 https://www.urara-hakusanbito.com/index.html

 登ったのは10月末。白山の山荘(室堂ビジターセンター)は10月中旬で冬季休業に入り、避難小屋として利用可能。また登山口付近で積雪が確認されると道路が封鎖され、登山口まで車両でアクセスが不可となる。「例年だと11月中旬頃に降雪が確認される事が多い」と金沢土木事務所より回答を頂き、この時期の1泊2日での登山計画が可能と判断しました。

装備

 秋の避難小屋泊として寝具、防寒着など用意。また、積雪は無いと事前に確認。ただし急な天気の変化に対応できるよう、軽アイゼンを持って行きました。

  • 軽アイゼン
  • 長ズボン
  • ミッドレイヤー(フリース)
  • アウターシェル
  • 冬用グローブ
  • 冬用寝袋
  • 寝袋用マット
  • ストック
  • ヘッドライト
  • メスティン
  • アタックザック
  • クマよけ鈴

※令和4年、石川県ではツキノワグマ出没警戒が発令。

スウェーデン式飯ごう「メスティン」

日程

 白山には別当出会登山口よりアクセスします。そのため石川県の金沢駅にて前泊。東京駅→金沢駅へ移動。

 今旅の宿泊先は金沢駅徒歩5分の「ホテルマイステイズ金沢キャッスル」。大浴場があり快適。マトモなホテル。

https://www.mystays.com/

 明日の登山に備えて就寝。

登山ルート

 白山は、冬季(10月中旬)になると山荘の他、公共のバスも冬季休業となる。今回は登山口に向かうため、レンタカーを利用します。また登山ルートは「別当出会登山口」より開始。防砂新道を通り、1日目に山頂へ登頂後、避難小屋へ宿泊。2日目にエコーラインを周遊しながら、レンタカーを駐車している別当出会登山口へ帰ってくるルートとしました。※岐阜県側から、石川県に横断できる平瀬道登山口からの行程も考えましたが、岐阜県より登山口までの道路は冬季公共工事により通行不可でした。白山一帯は冬季に入ると条件が変わります。

登り(クリックで大画面)

登り:別当出会登山口→【防砂新道ルート】中飯場→勘之助避難小屋→黒ボコ岩→室堂ビジターセンター→白山→御池巡り→室堂ビジターセンター

下り:室堂ビジターセンター→弥陀ヶ原→エコーライン→【防砂新道ルート】勘之助避難小屋→中飯場→別当出合登山口

1日目

 金沢駅よりレンタカーで別当出合登山口まで移動(約2時間)

 山荘が冬季休業にも関わらず駐車場利用は多い。

 別当出合登山口に到着。登山開始。

 吊り橋は冬季、積雪が確認されると踏み板を全て外され、通行不可になってしまいます。

 登山口付近は、紅葉を見ることができました。それにしても、ザックが重い。

 最初の目標、中飯場に到着。トイレは冬季閉鎖。

 冬季工事のため途中、コースアウトします。

 別当覗。尾根は別の登山ルート「観光新道」。

 勘之助避難小屋に到着。ここで一服します。やっぱり山のコーヒーは旨い。「うさぎや」のどら焼きが良く合います。

(このまま帰ってもいいな…)

 奥に見えるのは「別山」。途中避難小屋でお会いした先輩登山者は、別山を含む縦走路で来られていました。カッコいい。

 予報だと1日目、2日目とも良い天気。日が差すと暖かい、雲がかかると肌寒い。上着を脱いだり着たりを繰り返しながらの登山道。日本海の方向に雲が目立ちます。

 避難小屋を後にします。

黒ボコ岩とエコーラインの分岐点。登りは、黒ボコ岩へ。明日の下りは、エコーラインを通り、ここへ戻ってくる予定です。

 白山の登山道はよく整備されていて危険な箇所はありませんが、登って分かったことはハイキングコースではなく、登山道である事。油断していました。別当出合登山口から山頂までは約1400mの標高差があります。今回、登山者の多くはビジターセンター冬季休業中という事も相まって早朝から登り、登頂後、日帰りで下山する方が多く、この黒ボコ岩付近で下山時にすれ違うことが多かったです。軽装備とはいえ日帰りで踏破する健脚、またお声を頂いた方の多くは一度は白山に登ったことのある方でした。一方我々は一泊するための装備がある以上負荷のかかる登山。プランを間違えたのでは。と感じる一面もありました。

 黒ボコ岩までの登山道は、急斜面が続き、一気に標高差を詰めます。

 黒ボコ岩に到着。

 ここまで登ってきて、ついに山頂が現れました。目の前には高山帯が広がります。

 この時期は高山植物は見当たりませんでした。夏は植物と共に登山者でにぎわっていたのでしょうか。

 室堂ビジターセンターまであと少し。

 なんとか到着。

 

 今日泊まる避難小屋はどこなのでしょうか。何棟もある出入口をまわりますが、どの建物も鍵が閉まっています。「泊まれないのでは…」と一瞬ドキっとしましたが、「冬季入口」を発見。調べた通り、裏には水場があります。また凍結していないことを確認。

 遅めの昼食をとる。休憩を終えたら、今日は山頂まで行かなくてはなりません。天気は変わらず良いが、だいぶ疲労が出てきました。アタックザックに装備を変えたら、少し気が楽に。夕暮れまでには戻ります。

 ビジターセンター裏には「白山比咩神社」。絶賛冬季休業中。神社を抜け、山頂へと向かう。※シーズン中は行事として、早朝山頂にて御来光と共に万歳三唱を行います。

http://www.shirayama.or.jp/index.html

 室堂ビジターセンターは標高2450m。山頂の御前峰は2702m。あと252mのぼるのが辛い。

 ビジターセンターからかなり離れて来ました。山頂まであと少し。

 11座目 白山 2702m 登頂成功。

 遮るものは何もありません。奥には北アルプス。日本海側には雲海が広がる。

 ツリそう。足も限界。

 山頂は夕暮れも迫っているせいか風が強く吹き付ける。寒い。早々に後に、ここからは時間の許す限り御池を巡りビジターセンターに戻ります。

御池巡り(クリックで大画面)

 登山道は所々、凍結しています。転倒に気をつけ、進む。

 ブルーの翠ヶ池

 千蛇ヶ池。人が乗れるぐらい凍っていました。

 夕暮れの登山道。日本海に太陽が堕ちていきます。

 無事、ビジターセンターに戻ってきました。避難小屋へ逃げ込みます。

 ハシゴで小屋裏からアプローチすると、避難小屋はすでに真っ暗。1階が休憩・食事スペース、2階は小屋裏で中腰程度しかありませんが、就寝スペースになっていて結構広い。積雪対策で1階からは退出不可。トイレは外。急いで着替えて、自分の寝床を確保します。とは言ってもこの日の利用者は3パーティーほど。すでにお休みの態勢を取っている所を見るとあすの早朝、御来光が目当てのようです。お休みの皆さんに気を配りつつ、夕飯の準備。

 「メスティン」で作るアヒージョ。美味い。

 小屋の中はとにかく寒い。日本酒の熱燗で温まったら、明日に備えて就寝。

2日目

 くどいようですが避難小屋の夜はとても寒く、なかなか寝付けませんでした。外に出たくないので、トイレは我慢。特に寝袋からはみ出た顔が寒く、鼻水が止まりません。

ビジターセンターの朝

 予報通り天気は良さそうです。山頂からの御来光は良く見えたのでしょうか。朝のコーヒーを準備する頃には、避難小屋は我々だけでした。

 登山靴の紐を閉めたら、今日は下山します。

下り(クリックで大画面)

下り:室堂ビジターセンター→弥陀ヶ原→エコーライン→【防砂新道ルート】勘之助避難小屋→中飯場→別当出合登山口

 弥陀ヶ原。

 エコーラインへと続きます。

 「エコーライン」からは北アルプスを眺めながら気持ちの良い登山。右から、御嶽山、乗鞍岳、北アルプスの峰々。微かに尖って見えるのは槍ヶ岳でしょうか。

 昨日の黒ボコ岩近くの急な登山口とは違い、カーブを繰り返しながら緩やかに下っていきます。

勘之助避難小屋の分岐点に到着。帰りは早い。ここから先は、焦ることなく安全に別当出合登山口まで下りました。

 吊り橋。白山の旅もこれまで。無事帰ってきた安心感と、終わってしまうのはいつも寂しい。

 無事下山。お疲れ様でした。

 下山後は温泉が一番。本日は石川県白山市の老舗温泉「白峰温泉総湯」。

http://www.shiramine-m.com/

 金沢といえば、カレーです。「カレーのチャンピオン」。金沢カレーの発祥の店であり、その文化の担い手の1つ。

 加賀市発祥の「8番ラーメン」。

 10月末の白山は冬季休業でありながら雪もなく、気持ちの良い登山道でした。斜面を登りきると急に広がる高山帯からの山頂。御池を巡った後の避難小屋はとにかく寒かった。改めて白山は、また登りたい山だと感じました。季節によっても楽しみかたは変わると思います。夏の高山植物と共に登山し、ビジターセンターにて食事・宿泊。そして御来光を見る。夏の登山も良さそうです。今回、一つだけ心残りな事は「白山たる白山」をこの目で見られなかった事。白い姿を見てみたい。そのチャンスですが北陸地方にはもうひとつの百名山、「荒島岳」があります。登山レベルを上げて、積雪の荒島岳山頂から、雪がかった白山を眺める事が出来るかもしれません。次回が楽しみです。

 百名山踏破への道のりは長い。